Episode.08 お母様と新婦様、互いの想いを叶えた2回の結婚式

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結婚式に参列できないかもしれないお母様

挙式披露宴の具体的なお打合せをさせていただく最初の日のこと。
「当日は、母が参列できないかもしれないんです…」 と新婦様が心配そうにおっしゃいました。
今回の式をとても楽しみにされているお母様が、実は末期ガンで闘病中だということを、私はそのとき初めて知りました。
しかもお母様は、「私に何があっても結婚式をやめたり、日取りを変えたりはしないでほしい」とおっしゃっているというのです。
その言葉を受け止めつつ、新婦様も何があってもお母様にウェディングドレスを見てもらい、
出来ればお母様にベールダウンをしてもらいたいと願っていらっしゃいました。
そして、2回目のお打合せのとき、新婦様が涙ぐみながらおっしゃいました。
「主治医から、式までは難しいだろうって言われました」と。
私は咄嗟に答えていました。
「では、病院で結婚式をしましょう」

急きょ決まった病院での結婚式

お母様と新婦様のためになんとかしてさしあげたい。
その思いだけで突っ走ってしまったものの、
これまで病院で結婚式など行ったこともなく、段取りすらまったく分かりませんでした。
とにかく、病院側と交渉し、マネージャーに私の想いを伝え、
衣裳さんや美容さんにどうにか実現できるようお願いして回りました。
ただ、結婚式の準備は、通常なら3か月ほどかけて行うもの。
特に衣裳の調達やサイズ調整の急な対応は難しいのが現実。
しかし、マネージャーからの声掛けもあり、病院側にも、スタッフの皆さんにもご理解とご協力をいただき、
数日後には病院での結婚式が実現することになりました。

娘のために最後の力を振り絞る母の勇姿

ウェディングドレス姿の新婦様を一目見るなり、お母様は嗚咽されました。
そのお母様の涙に、泣き崩れそうになる新婦様。
涙、涙の病院での式は、私が牧師役となり、新郎新婦様と新婦様のご両親だけの静かな時間でした。
お母様は渾身の力を込めて新婦様のベールを下ろし、「きれいだよ、おめでとう」と、
心から絞り出したかすかな声でおっしゃいました。
新婦様も、泣きながら、「私、絶対、絶対に幸せになるからね」とおっしゃいました。
結婚証明書の署名欄には、すでに文字が書けないまでに衰弱されていたお母様が、
印鑑をしっかりと握られ、力を振り絞って押印されました。
どうしても署名はお母様に、という新婦様の願いを叶えたい一心の、
母親としての最後の勇姿だったのかも知れません。
それから5日後、お母様は天国に旅立たれました。

お母様からの最後のメッセージ「自分のように幸せになって」

お母様のいらっしゃらない挙式披露宴は、それから約2か月後、滞りなく行われました。
全てが終わった後、私たちは新婦様を誰もいない披露宴会場へご案内し、1本のビデオレターを上映しました。
それは、お母様から新婦様へのメッセージでした。
ビデオの中で、お母様は最後にこうおっしゃいました。
「私は幸せでした。だから同じように幸せになってね。本当にありがとう」
号泣される新婦様でしたが、その時、新郎様が、「お母さんのメッセージ通り、必ず幸せにします」とおっしゃり、
新婦様に大好きなひまわりの花束をお渡しになりました。
そのビデオレターは、新郎様と一緒に、病院での結婚式の際こっそりと撮影しておいたものでした。
新婦様が悲しい気持ちになったとき、この映像を見て元気になってもらいたいという新郎様の優しさが詰まっていました。

きっとお母様も見守っていらしたのでは…

上映を終え、会場を後にしようとしたお二人。
扉の外ではスタッフたちが祝福しようと待っていました。
既に深夜0時を回ったフラワーシャワーに、
「皆さん、ご協力、本当にありがとうございました。必ず幸せになります」と、こたえられたお二人。
新郎新婦様と亡きお母様、それぞれがそれぞれの幸せを願い、幸せを誓うことで実現した2度目の結婚式。
お母様もきっと笑顔で見守っていらしたのではないでしょうか。
さまざまなスタッフの皆さんと共に叶えることができた2回に渡る結婚式。
心から皆さんに届けます。All for thank you! ありがとうございました。

ウエディングプランナー 林 真弓

このエピソードに関わったスタッフたち

新井 惇

ウエディングプランナー

新井惇

ご縁あり、私もおふたりとは楽しくお打合せをさせていただいておりました。プランナーの林さんから相談を受けたとき、「病院で結婚式をしよう。牧師はあなたがやるんだよ。」と迷わず即答しておりました。
それが、数ある式場の中からおふたりが選んでくださった、ラグナヴェールプレミアとしてのあるべき姿、ラグナヴェールプレミアのスタッフ達なら絶対に出来ると信じて。
披露宴当日、深夜0時を越えそこに立つスタッフ達の表情は、誰もが輝きに満ちておりました。
プランナー、ヘアメイク、アシスタント、キャプテン、サービススタッフ、それぞれが手にしたフラワーシャワーに、たったひとつのおふたりへの願いを籠めて。
「お母様と同じように、幸せになってください。10年、20年、そして50年先もずっと」

児玉 愛美

ドレス

児玉愛美

病院での結婚式をすると伺った時、採寸もまだしていない時期でしたが、ご新婦様が気に入ってご決定いただいたドレスを綺麗にお母様にお見せ出来る様、 どこをどれくらいのお直し調整を入れたら良いのか先輩方に相談しながらドレスのご用意をさせていただきました。 リボンがついたノーブルな印象のウエディングドレスを着たご新婦様はご試着時よりきっと何百倍も綺麗だったと思います。 お母様にご新婦様の挙式と同じドレス姿をお見せする事が出来て本当に良かったです。

樽口 美沙子

ヘアメイク

樽口美沙子

病院で挙式をおこなう御新婦様のヘアメイクのお手伝いをさせて頂きました。「お母様がベールダウンしやすいようにしたい」とご要望頂きました。
ティアラのすぐ後ろにベールを付ける方が、お母様の手元が届きやすいと思います。と提案させて頂きました。
病院に到着した際は、御新婦様は緊張しておりましたので移動中に、御新婦様の傍で「不安もあると思いますが、御新婦様の素敵な姿を見たら、元気になりますよ。大丈夫です。 お母様と素敵な思い出となる挙式にしましょう。沢山お写真を撮りましょう。」とお伝えしておりました。お母様、ウェディング姿を見て、感激していました。

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